革職人が教える革の扱いのコツ

※執筆中

1 革の選び方
作りたい革小物や、自身の好みや、加工技術を基準に革を選択するときのポイント

革には大きく分けて、牛革・鹿革・豚革・馬革・羊革が存在する。
革小物で使うのは、ほとんどが牛革。

牛革は、その加工方法によってタンニンなめし・クロームなめしがあり、また、それぞれのなめし方において、革を柔らかく仕上げたり、固く仕上げたりしている。

タンニンなめしの柔らか加工した一例 → ミネルバボックス革
→ 扱いやすいので、今回はこの革を用いる
タンニンなめしの固く加工した一例 → ブッテーロ革

(それぞれの革の写真)

2 革を切る
型紙を使い、革を正確に切るためのポイント

2-1 型紙に沿って罫書く。

2-2 革を切る
カッターと定規を使い、まっすぐカッターに力を入れてゆっくりと引く。
歯の角度を革に合わせるのがポイント。

プロであれば、革裁ち包丁を用いる。

3 革を縫う
革を縫い合わせるときの注意点やポイント

3-1 革同士を張り合わせる
まず木工ボンドやゴムのりで接着させる
ボンドは片面のみ、縫う箇所だけになるように、ヘラや綿棒を使う。
ボンドが固まるまでの時間があるので、接着面に段差ができていないか、確認しながら、接着するのを待つ

3-2 線を引く

リバインダーを使って、同じ感覚で穴をあけるためのガイドラインを引く。
糸の太さによって感覚を変える。側面からの距離は2.5 ~3mm だと見栄えがよい。

3-3 仮合わせ

まずはいきなり穴をあけずに、菱目打ちを使って、ピッチがあるかどうかを仮合わせ
穴はひとつ拾って次の穴を作るようにすることで、針穴同士のつながりがきれいになる

3-4 穴をあける

菱目打ちをハンマでたたいて、革に穴をあける
革に対して、まっすぐ垂直に。
先端が付きぬけて少し見えるくらいの穴(軽く抜ける程度にする)
穴が大きすぎると、糸が緩くなりガバガバになってしまう。

3-5 革を縫い合わせる

3-5-1 糸を選ぶ
糸は麻 か ポリエステル から選ぶのが一般的。
麻糸は風味が出て、色合いがよい。
ポリエステルは強度が優れている。(麻糸が切れやすいという意味ではない)
(今回は麻糸)
縫う箇所の4倍の長さの意図を切り出しておく

3-5-2 蝋引きをする
糸が立つくらいまで、蝋引きをすることで、糸の強度を出す。

3-5-3 革を縫う
手縫い用の針は丸針。
ステッチングポニーで革を抑えながら、左右から二本針で塗っていく。
糸を中心に出さないと、最後に片方の意図が残って、片方が足りなくなるので注意。
縫いはじめは目立ちにくいところから。(スタート地点は重ねて縫うことになるので)
靴紐と同じく、糸の上下の関係を一定のルールで縫っていくことが、きれいな糸目を保つポイント

4 革を磨く(コバみがき)
耐水ペーパー、やすり120くらいの粗めのもので、コバ面(革の側面)を整える。
ある程度粗めのやすりを用いたあとで、ふのり(トコノール)でケバを寝かす(めどめをする)
その後、より細かいやすり 400で磨いていき、その後、ふのり(トコノール)で仕上げる。

5 革の手入れ
(革の種類によって、手入れ方法の違いはあり。ミネルバボックスの場合)

汚れが目立ってきたら、オイルで磨く。
タンニンなめしは水に弱いので、水分に振れないように注意する。
使っているうちに色が出て来る、いわゆる経年変化を楽しむことができるので、革とは長く付き合うと、より面白みが出てきます。