ツナグプロジェクト様運営のWEBメディア Life style project に取材していただいた記事をアップします。たしか2008年頃かと思います。
Life style projectとは、様々なシーンで活躍している人/団体/店/商品/作品に目を向け、取材を通して、作り手の「思い」をリアルに学びウェブサイトを通じて情報を発信するプロジェクト。
※サイト更新終了につき、こちらに転載させていただきます。
期待以上だと思ってもらえれば
シルバー職人 川上 健
商品はどのように作るんですか?
ボクはとりあえず作ってみますね、石使って実際に試作を作っちゃいますね。
そしてダメだったらダメ、結局イメージして、これいいなって感じて作っても、
出来上がってみるとなんだコレ、ってなっちゃうんですよ。
マネークリップ.com のマネークリップの面白みはどこですか?
ボクが思っているのは、ブランドものにはない「重み」ですね。
地金が厚いんですよ。こんな厚いのでやってるとこは、きっと少ないと思います(笑)。
以前某ブランドのマネークリップを持った時に非常に軽く出来てることを感じたことがあるんです。そこにブランド力があれば、それはそれでいいんでしょうけどね。
インターネット販売だと手に取ってみることができません。
なので商品が届いて初めて手にもったときの、「重み」を感じてほしいんです。
期待以上だと思ってもらえればうれしいですね。
シルバーの魅力とは?
シルバーの職人を目指すきっかけはなんでしたか?
もともとシルバーが好きだったんですが、買う側だったので最初はこんなの作れないだろうと思っていました。
でも自分で調べつつ独学で作っていたときに、たまたま友達にシルバーのお店を紹介してもらい、そこで働くことになりました(笑)。
いままで続けてこれたのは何故ですか?
シルバーの魅力ですね。銀はものすごく柔らかい素材なので、加工すれば何でもできるんですよ。こんなに面白い素材ってあるのかな?って思います。
何でもできるから、やってもやっても終わりがないんですよ。だから続けていられるんだと思います。好きなんですね、作っていることが。
作るのをやめたいと思ったことはありますか?
ないです(笑)。もうこれしかない!これで食っていこうと思いすぎてストレスで痔になりました。飲み過ぎという噂もありますが…
でも、手作りなんで常に苦労は伴いますね。
火傷もするし(黒くなった手を見せる)、根気が必要な作業も多いです。
どうしても納得いく物が出来ない時もあります。
その苦労を楽しむ秘訣は?
ひたすら耐えることです(笑)。その先に待っている喜びを想像しながら、ひたすら作業に没頭することですね。イメージ通りに完成した時は、それはもう嬉しいです!
モノ作りに対する今後のビジョンは?
他には無いものを生み出したいんです。例えば「唐草模様」1つでも作る人によって全然違う。個性がハッキリと出るんですよ。手作りだから出来ることって絶対にあると思う。こんなに作り込まれたマネークリップって滅多に無いと思うんですよ。逆に「機械では絶対にできないことをやってるんだ」って。それを突き詰めて、自分にしか出来ない商品を確立していきたいですね。
手作り?それで本当にいいのか?
今、一番興味のあることは何ですか?
子育て、自転車、釣り、アウトドア…いろいろやりたいことはあるんです。でも時間が無くて(笑)。美術館にも行きたい。昔の作品ってすごく洗練されてて、インスピレーションが湧くキッカケになるんです。世の中に出回ってるデザインでも、昔のものを引用してるものって結構あるんですよ。
発想を広げるのは、どこで?どんな風に?
だいたい職場で考えてます。でも、例えば山に行ったり川に行ったりすると、そこでしか生まれない発想はあると思う。どうしても職場に籠らなきゃいけない時以外は、そういう場所でインスピレーションを広げたいですね。
最後に、こだわりを教えて下さい。
例えば、シンメトリー(対称)ってあるじゃないですか。あれを手作業で精密に作っていくと、機械には無い風合いというか、手作りの味わいが出るんです。
それを大事にしていきたいんですね?
でもね、それって逃げ道にもなると思うんですよ。多少曲がってたとしても「これが手作り感だ」って言っちゃえばそれまでじゃないですか。それはお店の看板だとかブランドイメージだとか、そういうものに頼ってると思う。僕は一つの商品として、限界まで集中してキッチリ作り上げることにこだわってます。
どこで納得するか、ということですね?
手で作れる限界に挑みたい。それは作っている最中、常に頭の中に入ってます。なんだろう、反骨精神から来てるんですかね(笑)。
(インタビュー ツナグプロジェクト様)