もう10年以上前になってしまいますが、株式会社ウィルゲート様 の WebMarketing工房のメールマガジンにご掲載をいただきました。
2008年6月2日~6月6日まで、計5通のメールマガジンで、ネットショップオーナーの取材記事の形で、成功している・頑張っているECサイトのオーナー様にご登場していただき、
当時はシルバー&革アクセサリー AJINAという形ではなく、マネークリップ専門店 マネークリップ.com という形で運営をしておりました。
この取材ののち、数年後にマネークリップ以外に展開をしようと、シルバー&革アクセサリー AJINAにリブランドしております。
この頃から変わったこともたくさんありますし、変わらないこともたくさんありますが、それを含めてご一読下さい。
(以下、転載。内容は一部改変しております)
目次
とんがった商品の専門店で勝負!
開店当初のサイトデザイン
ショップ名 マネークリップ専門店 マネークリップ.com
サイト運営責任者 川上 健さん
サイトURL http://www.8moneyclip.com/ (当時のURLです)
ショップ開業 2006年5月
所在地 東京都文京
(プロフィール)
アクセサリー職人の川上健さんの手作りマネークリップを販売。商品は1万円台から。川上さんの愛着のある唐草模様のデザインが多い。
何でも屋には、なりたくない!
腕の確かなアクセサリー職人との起業――。シルバーアクセサリー、皮製品などを器用に作ることができる。いっけん、すぐにでもネットショップをスタートできそうだが、ECサイトなどウェブコンサルタントを行うKさんは慎重だった。
「古くからの友人である川上健が『独立したいんだ』って、言ってきたんですね。腕は確かな男ですから、ネットショップでモノを売れば、絶対に勝負できるとは思いました。でも“何でも屋さん”になっては、埋もれてしまう。この点は危惧しました」
そこで、Kさんは「とんがった商品」に絞って、ネットショップを展開しようと決意。市場調査を始めた。2006年初頭のことだった。
「この商品だ!」と、ハッと閃いたのは、ヤフーオークションにアクセスしたときのことだった。シルバーアクセサリーのカテゴリーのなかに『指輪』『ネックレス』などに混じって、『マネークリップ』があったのだ。
「マーケットはあるのかもと思いました。その後、様々なシルバーアクセサリーのショップをチェックしていったら『マネークリップ』というカテゴリーのある店は多かった。でも、いくら調べていっても、専門店はないんです。それで『マネークリップ専門店』で行けば、面白いかもなと」
マネークリップとは、お札をはさむ留め具のこと。もともとは欧米で、チップ用のお札をはさんでおくものとしてマネークリップは生まれた。
「マネークリップは、指輪などと違って、サイズはないんですね。そういう意味でも、ネットショップに適した商材だなと思いました」
Kさんと川上さんによる「マネークリップ.com」は、こうした開業した―
アンケートを実施し、一般の声を収集
マネークリップについてのアンケートを実施
川上健さんが職人で、Kさんがショップデザインなどを担当する「マネークリップ.com」がオープンしたのは、2006年6月。
サイト運営をしていくなかで、Kさんは「客観的な言葉でマネークリップを説明する」ということの重要性を認識した。
「例えば、マネークリップの認知度を知らせるとき、僕の言葉よりも、第三者の声を集めて『よく知られた商品なんです』と説明するほうが、信ぴょう性が高いのは間違いありません」
ここで問題なのは、いかに「第三者の声」を集めるかだ。Kさんは、自社サイトや懸賞サイト、アフィリエイトのA8.netなどを活用して、マネークリップの認知度についてのアンケート調査を実施した。
そのアンケート内容は、選択式だけでなく、記述欄も多くした。
これには理由がある――。
「懸賞サイトなども使ったので、選択式だけだと、適当に答えられてしまう危険性もあります。書く欄があると『ちゃんと書かないと当選しないかも』という心情になるものなんです。結果、参考になる意見がたくさん集まりました」
Kさんは、こうした意見をまとめて「マネークリップイメージ調査」というサイトを作り公開した。マネークリップの認知度、似合うシーンなどが一目瞭然のサイトだ。
「マネークリップの認知度を上げるためにも、このアンケートの実施は、とても有効だったと思います」
クリスマスには刻印サービスを無料に!
「マネークリップ.com」を開業し、その後、マネークリップについてアンケート調査を行ったKさんだったが、このアンケートにより、店の運営に関わる重大なことに気づくことになる。
それは“客層”である。
「30歳ぐらいのビジネスマンを客層として想定して、オープン後も、その方々をイメージしながら運営してきました。でも、実際のお客さんは、50代・60代の方と女性のお客様も多いことが分かったんです」
特に、意外だったのは女性のお客さんだったという。Kさんの言葉を借りれば「まったく予想していなかった」となる。
「誕生日やクリスマスプレゼント、バレンタインデーなどの記念日に、女性の方が男性にプレゼントするケースが多かったんです。少し想定外でしたね」
これを受け、Kさんは早速、こうした季節イベントに合わせて、様々なサービスを打ち出していった。例えば、カードを付けたり、通常は有料(1500円)の刻印サービスも、無料で実施した。
お客さんの声やニーズを拾いあげ、それを運営にいかしている「マネークリップ.com」だが、先に紹介した「刻印サービス」も、お客さんからの問い合わせが、始めた“きっかけ”となった。
「『刻印してもらえますか?』という質問が来たんですね。今実施しているサービスは、お客様のニーズから生まれたものが多いですね」
オーダーの7割から8割は、この刻印サービスを申し込むという。
高額商品だけに高級感の演出は必須!
「マネークリップ.com」があつかうマネークリップの値段は、1万円台から5万円台と高額だ。それだけに、あらゆる部分で「スペシャル感」を演出するように心がけているという。
「商品が届いて、開けた瞬間に『わぁ!』と楽しめる気持ちになってほしいんです。だからパッケージなどには、こだわっています」
そのほか、メールの文面にも気を配る。
「高価な商品を買い物しているわけですから、そのイメージを壊してしまえば、お客様は幻滅してしまいます。それだけに、メールなども手を抜くことはできません」
サイト上の高級感の演出にも、ぬかりはない。特に商品写真は、唐草模様の黒い布を敷き、シルバーが引き立つようにしている。
だが、開業当初は違った――。
「いまは、プロのカメラマンに撮影してもらっているのですが、最初は、僕が撮影していたんです。でも、新商品を入れるとき、プロに任せてみたんです。そうしたら、写真のレベルがまったく違った。実際、売り上げも変わったんです」
高い値段の商品だけに、職人(川上さん)の顔も前面に出している。制作途中の動画も公開。
「僕自身が川上の作業を見て、お客さんに動画で伝えるべきだと思いました。マネークリップにはこれだけの細かな工程があり、そのひとつひとつに職人の技が込められているのだということをお客さんに知って欲しかったのです。」
この動画は、お客さんの口コミ効果にもなるとKさん。
「お客様がマネークリップを持ったとき、友達などから『これ、いいね』といわれたら、当店のサイトの動画を見せて『こうやって作っているんだよ』って紹介できるんですね。その意味で、口コミ効果も期待できるんです」
職人のファンを一人でも多く増やしたい
開業して2年が経過し、次のビジョンも見えてきた。
まずは、マネークリップのバリエーションを増やすつもりだ。
「これまでシルバー950という手に馴染みやすく、質感のある素材で、マネークリップを作ってきましたが、今後は、革のマネークリップも売り出していきたい。革だと、それほど高い値段にはならないので、新たな客層もつかむことができると思うんです」
現在は「マネークリップ専門店」として運営しているが、ずっとその立ち位置で進むつもりはないと、Kさんは話す。
「川上ワールドに、お客様を誘っていきたいんです。きっかけは、マネークリップですが、その商品に愛着がわけば、川上の手がけたほかの商品にも、興味を持ってもらえる可能性は高いと思うんです」
とはいえ、もちろん「何でも屋」になるつもりは毛頭ない。
「マネークリップを身につける方は、スーツを着た人が多いんですね。そういう方々にあったステーショナリーを提供していけたらと考えています。まだ具体的ではありませんが、数年後には、カフスボタンなどのアクセサリーを提供するような事業展開を図れたらいいなと思っています」
アクセサリーという世界で、ニッチでとんがった分野を探していった結果、出会った「マネークリップ」。それを“起”として、Kさんと川上さんは、次のステップを目指そうとしている。
(掲載 【WebMarketing工房】 2008年6月2日~6月6日)
ちなみにオープン当初人気だったマネークリップ ベスト3です。
曲げ方などは微妙に修正していますが、ほぼ当時と同じデザインです。
当時から今も人気のマネークリップ。ターコイズとタイガーアイをこう並べると、とてもバランスがよいというか、雰囲気が出ますよね。
表面を適度に荒らして、表情をつけて、そこに対して唐草模様を入れています。
マネークリップという「洋」的なものに、唐草という「和」のテイストが加わるデザインは、当店の定番マネークリップです。
シンプル イズ ベスト なマネークリップ。
シルバー950で作り上げたマネークリップを磨き上げて、ピカピカに仕上げています。